幼児期の子どもたちへの関心が様々な視点・角度から注目されていますが、保護者の皆様は、小学校に入るまでのこの幼児期をどのように見ていますか?また、皆様にとって、保育園とはどのような存在でしょうか?
本園は「次世代を担う子どもは 日本の宝」の理念の下、将来に向け、多くの人々や社会に貢献できる人づくりに繋げられるような保育を目指したいと考えています。
私は保育園と子どもたちの関係を土(一般的な土壌)と植物の種に擬えて(なぞらえて)、職員や保護者を含め機会のあるごとに話しています。
子どもたちは小学校から本格的に教育を受け始めますが、それよりも前の保育園や幼稚園での保育や教育を「土」、子どもたちを「植物の種子」として例えてみます。
土の中にある種子は土の養分を吸収し、発芽に向けて少しずつ生長を続けそして芽を出します。この種子が順調に育つには、肥料や水分を与えすぎても少なすぎてもいけません。また、種子に合う肥料でないといけないでしょう。水分や乾燥、気温や日照なども大事な要素ですね。土はただ土であるだけではなく、様々な養分を持っていることで種子を大きく育てる役割を果たします。種子を早く生長させようとして、強い肥料や水分などの与えすぎは、かえって種子を痛めてしまうことになりかねません。中国の故事にある「助長」の元々の意味(植物の苗を早く大きくさせようと苗を引っ張り、かえってダメにしてしまった例え)に近いものといえます。
種子は適度な養分や環境の土から顔を出し「芽」となります。土の中でしっかりと養分をもらった芽はいよいよ生長し、枝葉を付け、花を咲かせ、実をつけていくことでしょう。土の中では直接感じることのなかった太陽の光、空気や雨や風、時に嵐や雪もあるでしょう。これらは学校や地域、多くの仲間や先輩たちと言い換えることができます。そして、芽が大きく逞しく育つように、温かさや厳しさや励ましを与えてくれるに違いありません。
子どもは小さな大人ではありません。私たち大人であっても、完成された人間などいないと思いますが、少なくとも未就学児は完成された人間ではありません。保育園に通う子どもたちは、日々成長し発達していく、のびしろをたくさん持っている、いわば「これからの人たち」です。
私たちはいわば、種子(=子ども)にとって一番最初の、一番大事な所を任されていることがわかります。当園の保育士たちは子どもたち一人ひとりと向き合い、また、保護者のみなさまとともに子どもたちの成長の支援をしてまいります。